書籍で使っているフォント

モリサワの新しいフォントサービスが話題ですが、エビスコムの書籍ではAdobe Fontsでフォントを管理し、「源ノ角ゴシック(Source Han Sans)」を使用しています。

書籍で使っている源ノ角ゴシック

もともと、Adobe Fontsで提供されていたモリサワのフォントを使っていたのですが、1年前に提供フォントの構成が変わったのをきっかけに、使用フォントを見直しました。

エビスコムの書籍(特にオリジナルの電子書籍やサポートPDF)は必要に応じて内容を更新するため、更新時に同じフォントが使えなくなっていると困るためです。

源ノ角ゴシックに置き換えるまで

たとえば、「HTML&CSS コーディング・プラクティスブック」シリーズの本文ではモリサワのTBUDゴシック Rを使っていました。このフォントは、R、B、Hとあったウェイト(太さ)のうち、BとHの提供が終了しています。Rだけを使い続けるという選択肢もありましたが、置き換えを検討することにしました。

TBUDゴシック Rを使った本文
 (コーディング・プラクティスブック7より)

まずは、Adobe Fontsで使える日本語フォントの中から、本文に適したゴシック系のフォントで、提供停止にならないと思われるAdobe社製のフォントをピックアップし、置き換えてみました。りょうゴシック PlusN源ノ角ゴシック(Source Han Sans) です。

りょうゴシック PlusN Rを使った本文
源ノ角ゴシック Rを使った本文

どちらも7つのウェイトを持ち、使い勝手のいいフォントです。元のTBUDゴシックと比較すると、柔らかい印象ではりょうゴシックの方が近いかもしれません。一方で、源ノ角ゴシック(Source Han Sans)のすっきりとした印象もいい感じです。

源ノ角ゴシックはAdobeとGoogleが共同開発したオープンソースのフォントです。字体は、スマートフォンを含む多様なディスプレイでの可読性はもちろん、メニューなどの短いテキストから、書籍の長い文章まで、さまざまな用途で読みやすくなるようにデザインされています。印刷はもちろん、電子書籍での利用にもぴったりです。

The Typekit Blog | Source Han Sansの紹介:オープンソースのPan-CJK書体
https://blog.typekit.com/alternate/source-han-sans-jp/

Google Developers Japan: オープンソースの美しい Noto フォントファミリーに日本語、中国語、韓国語が加わりました。
https://developers-jp.googleblog.com/2014/07/noto.html

Google Fontsでは「Noto Sans」として提供されており、Webフォントとしても親しまれていることから、源ノ角ゴシックを選択することにしました。

欧文フォントとの組み合わせ

続けて、欧文部分のインパクトをもう少し強くするため、源ノ角ゴシックと欧文フォントを組み合わせて使うことを検討します。

ここでは、ベーシックで汎用的なフォントとして、Roboto、Nimbus Sans、Acuminを選び、和文に対して110%のサイズにして組み合わせてみました。

Roboto(AndroidやChrome OSで採用されているGoogleのフォント)と組み合わせたもの。
Nimbus Sans(Helveticaがベースになっているフォント)と組み合わせたもの。
Acumin(汎用性が高いAdobeのフォント)と組み合わせたもの。

これらを比較した結果、最終的に一番最後のAcuminとの組み合わせを選択しました。ぱっと見た印象が読みやすかったのと、<th><tbody>といった本文中のHTMLタグの表記が他よりもゆったりと見えるためです。


こうした検討を経て、現在は源ノ角ゴシックを使って書籍を作成しています。

本当は、源ノ角ゴシックを採用すれば「太さを自在に変更できるバリアブルフォント版が使える!」という思惑もあったのですが、残念ながらレイアウトに使用しているInDesignの合成フォント(欧文フォントと組み合わせる機能)がバリアブルフォントに未対応で、今のところは実現していません。