WordPress 5.xに対応したテーマ作成の本をオリジナルの電子書籍として出すことにしたところまでは、昨日の著者NOTE「『グーテンベルク時代のWordPressノート テーマの作り方(入門編)』について」でお話しました。
次に問題となるのが、「どこでどんな形で出すのか」ですが、これに関しては迷うことなくAmazon Kindleを選択しました。というのも、現状では余程のことがない限り、「Kindleのサービスそのものが途絶えることはありえない」と思えるからです。
ただ、Kindleを選択した場合に最大の問題となるのが、「KindleはPaperwhiteのようなE Inkスクリーンの端末でしか読めない」と思っている方が意外と多いということです。
実際のところは、AndroidとiOSはもちろん、Windows PCでも、macOSでも、問題なく読むことができます。「Kindleはどんな環境でも読むことができる」のです。
逆に、今回採用したプリントレプリカ形式のKindleは、PaperwhiteのようなE Ink端末では読むことができません。
Kindleには
・ 固定レイアウト
・ リフロー
・ プリントレプリカ
の3つの形式があります。
1つ目は固定レイアウトです。多くの技術書が採用している形式で、ページ全体を1枚の画像として扱っています。そのため、書籍のままのレイアウトを維持することができる反面、ページはあくまでも画像なため、拡大には弱く、文字がぼやけるという弱点があります。
2つ目がリフローです。テキストベースの書籍に採用されることの多い形式で、テキストファイルをイメージしていただくのが一番近いと思います。そのため、テキストをテキストとして扱うことができ、フォントサイズなども自由に変化させることができるものの、レイアウトの維持はほぼ不可能という弱点があります。
そこで、上の2つの長所だけを兼ね備えた形式として、PDFをベースに用意されたのが、3つ目のプリントレプリカです。PDFをベースとしているため、テキストをテキストとして扱うことができ、レイアウトも維持することができます。もともと教科書などを作るために用意された形式なので、図やコードの見せ方が重要な技術書にも非常にマッチしています。
以上3つの形式のうち、Kindleの技術書では一般的に「リフロー」と「固定レイアウト」が使われていますが、いまひとつ評価がよくありません。
しかし、「プリントレプリカ」は日本ではほとんど採用されていません。というのも、日本語に正式対応しておらず、一部機能に不安定な部分があるためです。この形式の本が大手出版社からなかなか出てこないのも、このあたりが原因ではないかと思っています。
ただ、自分たちでいろいろと試したところ、プリントレプリカ形式でも「書籍」としての機能に関してはまったく問題のないことが確認できたので、今回はこの形式を採用することにしました。
プリントレプリカ形式は、PDFと同等の画質・クオリティが維持されており、拡大しても文字がぼけず、とてもきれいです。
一方で、ページを縦にスクロールするPDFと異なり、本と同じように「ページをめくる」というインターフェースで読むことができるというメリットもあります。
さらに、普通にめくるだけでなく、ページのサムネイル表示で目的のページを探し、簡単にジャンプできるようになっているのも、使ってみると想像以上に快適です(環境によって使用できる機能が異なります)。
Amazonに確認したところ、プリントレプリカの日本語対応に関しては改善できるように取り組んでいるとのことですので、正式対応した際には、リリース済みの電子書籍も更新したいと思っています。
一方、プリントレプリカ形式には環境依存の問題があります。それは、本文中のリンクやハイライト、検索など(リフロー版で利用できる機能と同じもの)が利用できることになっていますが、日本語の書籍ではデバイスによって機能しないケースがあるというものです(固定レイアウトではこの機能ははじめからありません)。
Kindleにはさまざまな環境のためのアプリが用意されています。Amazonのページからサンプル(表紙から22ページ分)をダウンロードすることができますので、お手元の環境でぜひ試していただきたいと思います。